ヒスイの印鑑
30年ほど前、ジュエリー服部の一大プロジェクトが立ち上がりました。
それは、「翡翠の印鑑」の開発、販売プロジェクトです。
当時、ミャンマーに伝手を持つスタッフがいたことから、翡翠を原石から輸入し印鑑に加工して販売しようと当時の弊社社長が社をあげて取り組みました。
翡翠と言っても、ジェダイト(本翡翠)とネフライト(いわゆる台湾ひすいなど俗称でひすいと呼ばれているもの)とは、まったく別の鉱物。
ご存じの方もおられるかと思いますが、意外とその違いは知られていないように思います。
さらに本翡翠の色は、実に多様で、その漢字の持つ意味は、七色の羽を持つと言われている翡翠(かわせみ)からきています。
本翡翠の産地は、主に、ミャンマー、中国であり、少ないながらも日本の糸魚川でも採れます。
そのミャンマーと中国の国境際の山岳地帯では特に良質の本翡翠が採れます。
当時、魔の三角地帯と呼ばれ山賊にしばしば襲われる危険地帯として有名でしたが、かの地に伝手を持つスタッフはそこに赴き、現地の部族と交渉し良質の翡翠原石を手に入れ、タイにて研磨を手配し数千本を日本へ輸入しました。
かわせみの名前が由来である、本翡翠。日本に到着したその印材を見た時、私達はびっくりしたものです。なぜなら、その色のバリエーションの多いこと、多いこと。
さらに、翡翠には独特の文様を持つものが多く、色と模様のバリエーションに評価分類するスタッフも音を上げたほどです。
もちろん、鮮やかな緑色の翡翠もありますし、黄緑、紫、真っ黒、グレー、黄色、真っ白、白に緑の斑(ふ)が入っているもの、まるでマーブル模様のようにきれいなまだらの文様を持つもの、半分緑で半分紫など。その多種多様の翡翠に圧倒されたものです。
しかも、翡翠の持つ、靭性の高さゆえの丈夫さ、印肉を染み込ませる浸透性の良さ、昔から幸運を呼ぶ石と珍重されてきた希少性、どれをとっても印鑑の材料としてぴったりの性質を持っています。
高い靭性のため、名前を彫れる職人を探すことも大変でしたが、とうとう印鑑として売り出すまでに至りました。
社をあげて取り組んだ翡翠の印鑑、さぞや売れたことでしょう、と思われますよね。
社員、その家族、友人には大好評でしたが、何千本もあった翡翠の印鑑は残念ながら、一大ブームを起こすことなくその保管場所にも困ることになり、知り合いの宝石業者に安値で引き取ってもらう事となりました。
一部のコレクションレベルの印鑑は会社に2,30本は残っておりますが、あとはそれぞれ自分用や家族用に社販で購入したものばかり。
当時の翡翠印鑑プロジェクトに燃えた熱い思い出が、実印を押すたびに思い出されます。
30年前のバブルの頃のお話です。
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