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バブルの時代とジュエリー

2021/09/21
バブルの時代とジュエリー

1986年~1990年の日本はバブル経済と呼ばれ、好景気の時代でした。
その頃の日本においてジュエリーはまさしくバブルの象徴ともいえる商品で誰もがこぞって買い求めたものです。

本当に「誰もが」といえるほど、ジュエリーは売れたのです。
その頃のジュエリー業界の売り上げは年間約2兆円の規模を誇っていました。

ダイヤモンドはもちろん、ルビー、サファイア、エメラルド、パール、オパールが五大宝石といわれ、中でもエメラルドのリングを手に入れることは女性の憧れで、また実現できる夢でした。

当時のデザインは「ヤマギワ電気」と揶揄されていたテーパーダイヤとメレダイヤをゴージャスに取り巻いたデザインです。
ちょうど取り巻いた形が電気店のロゴに似ていたからです。
中石の台座下には、唐草のモティーフを付けてなるべく立派に見えるように高さを持ち上げて作っていました。
ジュエリーといえば、この形と連想されるほど、ヤマギワデザインが溢れていました。

今となってはそのゴージャスさが仇となり現代風にシンプルにリフォームしたいとお望みになられる方が多いです。

当時は豊かさの象徴としてジュエリーを身に付けたいという方が多かったのですが(そういえば"ステータス"という言葉もこの頃から使われ始めました)、今考えてみると購買する方の心理は「いかに立派に見えるか?」という基準で選んでいたように思えます。少し乱暴かもしれませんが、「大きいことはいいことだ」の風潮もあったのです。

でも令和の現在は、宝石の美しさに惹かれその美しい宝石を手に入れたい、という動機の方がほとんどとなりました。
それは石だけに限らず、デザインや作りに関しても洗練された美しさが求められます。
ある意味、ユーザーの眼が成熟したともいえます。

良いジュエリーをコレクションしているお客様からこんなお話をお聞きしました。「私の持っている宝石に娘は何の関心も持たないけど孫娘がこの指輪を大きくなったら私に頂戴って言うのよ」

バブルに狂騒した親御様を間近で見ていたお子様達には、その象徴であるジュエリーに対してなんとなく違和感を感じるけれども、何の固定観念もないお孫様の世代には純粋に美しいもの、として惹かれるということなのかもしれません。

われわれ、ジュエラーとしては、マーケットは小さくなっても真にジュエリーの美しさで勝負する、次の展開が楽しみな時代になりました。




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