宝石の石留めについて ~「爪留め」編~
宝石をセッティングしたジュエリーにはどんなアイテムにも必ず
「石留め」と呼ばれる技法が用いられます。
ジュエリー業界では分業が主体で、デザインする人、宝石を研磨する人、
枠を作る人、石を留める人、メッキ加工をする人などなど、
専門クラフトマンがおり、最初から最後まで全部一人のクラフトマンが作業することは稀です。
中でも石を留めるクラフトマンには高い技術が必要とされるため、長年石留め一筋という方も多くいらっしゃいます。
昨今では、リフォームやオーダーなどのご注文も増え、お客様からのご要望もより具体的になってきています。
特にメインの宝石を留める爪の形にはこだわりをお持ちになる方も多く、
デザインのお打ち合わせ場面で一般のお客様と専門用語で確認しあうことも増えました。
そこで石の留め方の名称について書いてみようと思います。
今回は、「爪留め」について。
ダイヤモンド婚約リングによく使われる、6本の爪でセットされた立爪が爪留めの代表です。
丸い石を丸く見せるのにはこの「6本爪」が向いています。
「4本爪」は、角型やオーバル型の石に多く使われます。
丸い石に使われる場合には、4カ所の爪の出っ張りが、丸い石を四角く見せ、少しカッチリとした印象になります。
最近では、こだわりの爪として、それぞれの爪を二つに割る「割り爪」をご指定されるお客様もいらっしゃいます。
割り爪にすることにより、繊細な印象になります。
また、できるだけ多くの爪をたて、王冠のように見せる「クラウン留め」も爪留めの一種です。
大切な石を大事に留めている、という印象になり、より、石の存在を強調することができます。
また、カボションカットのようなツルっとした石が外れないように留めることができる安心感もあります。
爪留めは爪の本数でそれぞれに特徴が出ますが、見た目の印象とともに"丈夫さ"という観点にも
お気をつけてお選びいただきたいものです。
爪の本数が増えれば増えるほど石が外れる心配は少なくなります。
また、衝撃に対し、爪が石をガードする役目もあります。
ダイヤモンドとは言え割れてしまうほどの衝撃に対しては、爪のない剝き出しの部分が少なければ少ないほど安心といえます。
今ではあまり作ることがなくなりましたが、かつて、「1点留め」・「2点留め」といった、
できるだけ爪を少なくして留める、といったデザインがもてはやされた時期があります。
例えば、ダイヤモンドのペンダントにそれは使われ、まるでダイヤモンドだけが宙に浮いているような
印象になり数多く売れたものです。
ですが、どんなに腕の良いクラフトマンが留めても、ジュエリーは身に着けて使うもの。
知らず知らずのうちに、ぶつけたり落としたりすることもあります。
そうしたアクシデントは、絶妙な加減で留まっている石留めのバランスを崩します。
多数の爪があれば、そのバランスの崩れもお互いが支えあうことができますが、
2本や1本の爪だけではどうしても支えきれません。
爪本数の極端な少なさは石のゆるみや外れといったことを引き起こす原因ともなり、
そのジュエリーをヘビーユーズされる方には、あまりおすすめできないデザインとなっています。
ジュエリー服部では、こうした1点留めや2点留めの石ゆるみや外れのお直しのご相談には、
小さな爪を2本立て増すことをご提案しております。
いにしえの時代には爪は大きく、がっしりとした太さが主流でしたが、昨今ではあくまでも主役は石。
爪はその石の美しさを引き立てる脇役として、繊細さや爪そのもののデザイン性を求められる時代になりました。
ただし、石の形状や硬さにも留意して石留めを決めることが大切です。
ご質問やご相談等ございましたらどうぞお気軽にお問い合わせください。
ジュエリー服部ではメールやお電話のほかに、ZOOMやLINEを使ったオンライン相談もお受けしております。
もちろんご来店されてのご相談もお待ちしております。
ジュエリーリフォーム専門店『ジュエリー服部』では、経験豊富なジュエリーアドバイザーが在籍しております。ジュエリーリフォームやジュエリーの修理については、ジュエリーアドバイザーが丁寧に接客させていただきます。
創業40年以上のジュエリー専門店ですから、ジュエリーのリフォームや修理について、これまでに培った経験も豊富です。店舗は、東京都港区南青山にあり、最寄り駅である表参道駅から徒歩3分ほどです。
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