真珠をルーペで見たことはありますか？


当時入社したての新人だった私は、覚えたてのルーペの使い方をあらゆるものに向けて観察していました。
初めて真珠表面にルーペを向けて見たとき、乳白色の中には奥深い虹色の世界が広がっていて大いに感動したものです。


鉱物の宝石とは違い、生き物の貝から生まれた宝石、真珠。その真珠層は単一ではなく複雑な色合いの集まりだったのです。
何か異物が体内に入ってしまったり、また人工的に核を挿入された貝はそれを真珠層で巻き込み、やがて珠とし真珠が生まれます。

生きている生物がみずから宝石を生み出すという神秘を思い、ルーペから覗いたミルキーな世界に当時の私は酔いしれました。


真珠の語源は、その形から「洋ナシ」を意味するラテン語の「ピルラ（perla）」からきているとも、また、二枚貝を意味する「ペルナ（perna）」からきているとも言われています。
貝から生まれ、太古の昔から人々に珍重されていた真珠。その歴史は古く、さまざまな言い伝えや逸話があります。

クレオパトラはその愛人アントニウスの気を惹くため、当時小さな国一つ分の価値があるとされていた天然真珠のイヤリングをワインビネガーに溶かし飲み干してみせ、彼を手玉に取ったという逸話があります。

また、ギリシャ神話では愛と美を司る女神アフロディーテが海から誕生するときその身体から滴った泡のしずくが海に落ち真珠となったとの伝説もあります。

日本では、古事記や日本書紀にも登場する真珠。私たち人類が初めて出逢った宝石かもしれません。


真珠の石言葉は「純潔」「円満」「健康」。


月の光を閉じ込めたとも表現される真珠。ロマンティックなエピソードがつきることなく語られる宝石です。
一方、月の女神のダイアナの恩恵を秘めたとされる「ムーンストーン」。

ムーンストーンは、長石グループの鉱物、オーソクレーズの変種です。 形成中に、オーソクレーズ(正長石)とアルバイト(曹長石)が交互に層をなします。 光がこれらの薄い層の間に当たると、散乱してアデュラレッセンス（青色閃光）と呼ばれる光学的現象を生じます。 アデュラレッセンスはシラー効果とも呼ばれ、石全体に大きくうねるように見える光です。 この光が見るものを魅了する神秘的な輝きを放つのです。


ムーンストーンの石言葉は「幸運」「健康」「恋の予感」。


ロマンティックな月の加護を受けて、身に着けるものを護ってくれるといわれています。


2021年12月、誕生石の改定により6月の誕生石に「アレキサンドライト」が追加されました。
その特徴は何といっても、光源により色が変化することです。
昼の太陽光の下では青緑に、夜の人工の灯りの下では赤色に変化するアレキサンドライト。
その名の由来は、ロシア皇帝に献上された日が皇太子アレクサンドル12世の誕生日だったことから名付けられたといわれています。
鉱物学的にはクリソベリルキャッツアイと同じクリソベリル。その変種です。

神秘的な変色性は含まれるクロムに起因しています。
その不思議な現象に魅惑され、手に入れたいと思われる方も多くいらっしゃる宝石ですが、上質で大粒なものは大変に少なく、また高額で取引されています。

逸品宝石コレクターが最後に到達しコレクションする石とも言われる「アレキサンドライト」。マニアックなレアストーンです。


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